探偵が浮気調査をする時、GPSを使って調査を依頼された対象者の居場所を調べるのは当然です。
GPSとは「地球上の現在位置を、人工衛星からの電波で測り知る装置」なのですから。
これ以上、浮気調査で居場所を特定するために優れたアイテムはないからです。

探偵事務所のホームページでも、GPSを使った浮気調査について解説していますし、 浮気調査が楽になるので、GPSを使って浮気調査を探偵に依頼する方も多いです。

しかし!
「GPSを使った浮気調査は、一歩間違えると違法行為になる」という事、
ご存知でしたか?

夫婦だったとしてもです!

なので、本記事では、 法律で禁止されていない「GPSを使用した浮気調査」が、違法行為になる場合とは?について、解説していきます。

浮気調査が違法行為になる理由

法律では、 浮気調査にGPSの使用は禁止されていませんが、
浮気調査にGPSの使用を認めているわけでもないのです。

探偵業法の中身にも、 GPSを使った浮気調査はしないとは記されていませんが、
GPSを使った浮気調査をするとは記されていないのです。

「禁止されていないのに、認めているわけではない」とは、意味がわからなくないですか?

それには3つの理由があるのです!

位置情報を調べる=プライバシー権の侵害

英語で「privacy」は、日本語では「私事権」「私生活」と訳されます。

なので、プライバシー権とは、
「私生活上の事柄をみだりに公開されない法的な保障と権利」
「他者が管理している自己の情報について訂正・削除を求めることができる権利」 というものです。

この権利は、日本で生活する全ての人に適用されるので 浮気や不倫という『不法行為』を行っているからといって、 『プライバシー権』を侵害することが許されないというわけです。

GPSを取り付ける際の違法行為とは?

GPSを使用するには、GPS発信機の取り付けが必須です。

調査対象者が、浮気をする際に車を使用しているなら、その車にGPS発信機を取り付けます。が!GPSを取り付ける際には、
・住居不法侵入
・軽犯罪法
・プライバシーの侵害(損害賠償請求)
・迷惑防止条例違反(つきまとい行為に該当)
などの違法行為を犯してしまいがちなのです。

GPS発信機を取り付ける際、
「調査対象者の車を故意に傷を付ける」は、器物損壊、
「依頼者の自宅敷地内でGPS発信機を取り付ける」は、不法侵入とされ、
違法行為になるわけです。

違法行為を犯してしまわないように「どのような行動が合法で、どのような行動が違法か?」を しっかり認識しておく必要があります。

合法なGPS調査

・同居している配偶者の車両にGPSを取り付ける
婚姻関係を結んでおり、同居している夫婦の車は「夫婦の共有財産」とみなされ、 「配偶者の方からの依頼=所有者からの依頼」とみなされるので、車両にGPSを取り付けることが出来ます。

GPSの存在がバレて、夫婦の信頼関係に亀裂が生じても、法律的には問題ないということです。

違法なGPS調査

・恋人や気になる異性の車両にGPSを付ける


「婚姻関係を結んでいない」調査対象者なら、恋人でも、どんな仲の人でも、法律的には他人です。
他人の敷地に入り、車両にGPSを取り付ける行為は、
当然!「住居不法侵入」又は「軽犯罪法違反」とされます。

「プライバシーの侵害」という違法行為とされ「損害賠償請求」されたり、
「付きまとい行為」とされ「ストーカー規制法」や「迷惑防止条例違反」とされます。

・夫or妻が使用している会社の車両にGPSをつける

使用者が婚姻関係がある夫でも妻でも、
車両は「会社の所有物」とみなされるので、当然!GPSを取り付けることはできません。
会社から「損害賠償請求」される犯罪行為とされます。

・別居している配偶者の車両にGPSを取り付ける

婚姻関係が結ばれたままで、別居しているだけの状態では、関係は『夫婦』とみなされるので、 車両は「夫婦の共有財産」とみなされます。
しかし! 『グレーゾーン』の関係なので「夫婦の話し合い」次第とみなされますが、 GPSを取り付けたことバレれば、 「プライバシーの侵害」「つきまとい行為」とみなされ、「迷惑防止条例違反」とされます。

GPSアプリケーション使用による監視

スマートフォンなどの、モバイル端末が急速に普及した現代では、
「位置情報の読み取り&発信機能」アプリケーションが装備されているのが当たり前です。

「位置情報の読み取り&発信機能」アプリケーションって何?と思われた方にご説明いたします。
「位置情報の読み取り&発信機能」アプリケーションとは、
「遠隔操作で探したい相手の現在地が特定できる」アプリケーションです。

もちろん、逆に「遠隔操作で探してほしい相手に現在地を特定してもらうことができる」ものでもあり、 元々は、子供の心配をした親御さんや、自分のスマートフォンをなくした緊急時に、 使用される目的で作られたアプリケーションです。

しかし、 このアプリケーションは「浮気調査」のために使用されることのほうが多くなったと言えるでしょう。

自分でパートナーの行動を調べる為に、 アップル公式のアプリケーションの「iPhoneを探す」を使用されている方も多いです。

とは言え!
探偵業者の方から、依頼者に対して、スマートフォンのGPSアプリケーション使用を推奨するという事はありません。

たとえ、依頼者と調査対象者が、どのような関係であっても、
自分のアカウント以外のアカウントに、無断でログインするのは、違法行為と見なされるからです!

持ち主の許可なく、 スマートフォンなどの、モバイル端末の「位置情報の読み取り&発信機能」アプリケーションを、 ダウンロードorインストールする行為は、 「不正アクセス禁止法違反」「不正指令電磁的記録供用罪」とされ、
違法行為になります。

GPSを使った浮気調査が違法でなくても、調査に付随して違法行為となる場合があるということです。

違法でないGPSを使った浮気調査はないの?

ここまで読んで下った方は「GPSを使用した浮気調査は、結局、違法になってしまうのでは?」 と思われるのではないでしょうか?

「違法でないGPSを使った浮気調査の方法はないの?」と。

しかし!安心してください。
違法でないGPSを使用した浮気調査の方法はございます!

3 全て依頼者の自己責任

探偵側ではなく、依頼者の自己責任で、GPSを使用した浮気調査ができます。

依頼者自身で、調査対象者の車にGPS発信機を取り付けたり、
依頼者自身で、GPSを使って収集したデータの確認を行うのです。

しかし!依頼者が「自己責任でOK」と言うなら、何でをしても良いわけではありません。

違法行為のボーダーライン

「探偵側ではなく、依頼者の自己責任で、GPSを使用した浮気調査」は、
当然、依頼者が責任を負うことになります。

しかし、違法行為で収集した浮気の証拠は、 事実でも事実でなくても、裁判で証拠として認められない場合があるのです!

なので、依頼者は「違法行為のボーダーライン」を自覚しておく必要があります。

「自分でGPSを使用した浮気調査する!」という方は、
違法行為のボーダーラインを見誤ってしまう方が多いからです。

「探偵にGPSを使用した浮気調査を依頼する!」という方も、
自分でGPSを取り付けなくてはならないことに変わりはないのですから、
「どうすれば違法行為になるのか?」という「違法行為のボーダーライン」を自覚して、
リスクを把握してから調査を行う必要があります。

まとめ


GPSを使用する浮気調査は、
「違法ではないが合法でもない」という、ボーダーラインのわかりにくい調査です。
「どこからが違法で?どこまでが合法か?」ということを理解してから出ないと、 「違法行為になってしまいがち」だということをおわかりいただけたでしょうか?。

自力で浮気調査をするなら、もちろんしっかり理解してから出ないとオススメしませんが、 探偵事務所に浮気調査を依頼するにしても、
すべてを探偵に丸投げしまわず、確認しながら調査を進めることを強くオススメします。